人間関係をよりよくする「共感的コミュニケーション」
2025.08.01
職場や家庭での「人間関係」に活用できるコミュニケーション術
職場や家庭のコミュニケーションってときに難しいですよね。私たち社会医療法人清風會の医師が患者さんとのやりとりで重視しているのは、その方の「考え」と「感情」を理解する方法です。感情は消し去ることはできないが、相手の感情を“理解すること”で必ず和らげることができます。そのためには、決まったステップをきちんととることが重要といわれています。
【共感的コミュニケーション】と呼ばれるこの方法は一般の方でも活用でき、うまくいかない職場の人間関係、家庭での夫婦関係や親子関係を改善しうる方法といわれています。
目次
共感的コミュニケーションとは
- 「耳」を使って真剣に話を聞く
- 「目」を使ってよく観察して相手の感情を察知する
- 「心」を使って想像力(イマジネーション)を広げる
共感的コミュニケーションは、観察と想像から成り立っています。「聴く」という漢字には耳・目・心の3つの体の部位が含まれています。共感をするにはこの3つの部位それぞれをフルに活用する必要があるのです。
共感的コミュニケーションを行うステップ
- 先入観を捨て、表情を観察しながら相手の話をストーリーとして「聴く」
- イメージを膨らませて、相手の立場ならどう感じるかを想像する
- 相手に「こんな風に感じているの?」と確認する
- 「そうだったんだね。」と共感的理解を示し、5~10秒程度の間(沈黙)を空ける
- 「そうなんだよ。わかってくれた?」と答えてもらったら、共感的理解のプロセスを完結する
- 確認をした際に相手の感情に当たらなかった場合は、再度1~3のプロセスを繰り返す
怒りへの対応
相手が怒りの感情を表す時、どう対応すると良いでしょうか?とある親子(中学2年生女子と母親)の会話例をみてみましょう。
よくない例
娘:お母さんはちっともわかってない!ひどいよ!
母:何の話?
娘:昨夜居眠りをしてたら、スマホばっかり見てるから居眠りするんだって言ってきたよね?
母:言ったわよ。だって本当のことじゃない。どうせ遅くまでスマホで動画見てたんでしょう?お母さんは何も悪くないじゃない。一体何に怒ってるの?
娘:もういいよ、お母さんには何も言わない……。
思春期のお子さんによくある会話ですね。お母さんが娘さんのお話を聞く前に反撃をしてしまいました。では、共感的コミュニケーションを活用してもう一度やってみましょう。
共感的コミュニケーションを活用した例
娘:お母さんはちっともわかってない!ひどいよ!
母:どうしたの?
娘:昨夜居眠りをしてたら、スマホばっかり見てるから居眠りするんだって言ってきたよね?
母:うん。
娘:最近は、テストの成績を上げたくてスマホを別の場所へ置いて勉強してるんだよ。昨日眠かったのは前日に遅くまで勉強してたからなの!それなのにお母さんはスマホスマホって…
母:そっか。じゃあ自分なりに頑張って勉強してたのに居眠りしてるところを見られて、スマホばっかり見てるからって怒られたのが頭に来たってこと?
娘:そうだよ!一生懸命やってたのに。悲しかったんだよ…。
母:そっか。(5~10秒 間を空ける)
自分から頑張るようになっていたのはすごいね。勘違いしてごめんね。
娘:わかってくれたならもういいよ。ちゃんと勉強頑張ってるんだから、信じてね。
共感的コミュニケーションのコツ
「映画を見ているかのように相手の話をリアルにイメージ」できれば共感はうまくいくものです。また、共感を示したあとは、間が重要です。5~10秒ほど沈黙が保てると相手の気持ちに対する理解が進み、相手も「わかってもらえた」と感じやすくなります。
親子など、距離が近い関係だと相手の立場に立って想像するのが難しい場面ありますよね。その場合は深呼吸して「今起きている現象は何かな。」と、少し心理的に距離を置いて話を聞いてみると、反論する前に相手の話を聞けるかもしれません。
まとめ
- 相手の立場に立って想像するのが難しい場合は、深呼吸をして心理的に距離を置いて話を聴いてみる。
- 職場や家庭の人間関係をよりよくするために、相手の考えや感情を理解する「共感的コミュニケーション」を活用することができる。
- 共感的コミュニケーションを行うには決まったステップをきちんととることが大切。
- 話を聴くときは、映画を見ているかのように相手の話をイメージする。
- 相手に共感を示したあとは、5~10秒間ほど間を空けるとよい。
よりよい人間関係づくりのために、ぜひ共感的コミュニケーションを活用してみてくださいね。
参考資料